COVID-19, 健康

新型コロナウイルス感染症が高齢者で重症化し易い理由 -後編-

亜鉛の欠乏は致命的

亜鉛はその役割として人体の様々な場面で利用されています。100種類以上の酵素の構成要因として人体の様々な代謝系の調整に関与し、蛋白質合成・代謝などの生命維持に関係しています。亜鉛を摂取しやすい食品で、最も手軽なのは肉類でウナギのかば焼きやカキも摂りやすいでしょう。亜鉛欠乏は成人ではまず味覚に異常を来たします。

近年、食卓は加工食品で占居されるようになりました。 重合 リン酸に代表される強力な亜鉛キ レー ト能を有する食品添加物の影響が大きくなってきています。高齢者は食事に占める肉の摂取量が少なく、食品添加物を含む加工食品も調理に取り入れられるようになっています。そのため若年者と比較して亜鉛不足者が多くなっています。

多くの高齢者は亜鉛が欠乏

次のグラフは合田文則らによる健常若年者群と健常高齢者群で血液中の亜鉛の量を比較したものです。(静脈経腸栄養/25 巻 (2010) 3 号)食べられなくなった高齢者にたいする微量元素補充療法における亜鉛の基準値は80μg/dLとなっていますが、高齢者群ではわずか4.5%の人しか基準値を満たしている人がいませんでした。ほとんどの高齢者は低亜鉛血症となっています。高齢者は食事量が少なくなっていますので、食事で多くの亜鉛を取ることは困難なため、サプリメントの摂取が欠かせません。

COVID-19の治療にはビタミンDとともに亜鉛が必要

新型コロナウイルス感染症の治療では、ウイルスとの戦いで消費されたビタミンDを補うとともに、血清亜鉛濃度を高めることが必要となります。高齢者のうち、重症化する場合と比較的軽症で済む場合の明暗を分けるのは、合併症の有無だけではなくビタミンやミネラルが足りているかによります。

Zhila Maghbooli らによる論文によるとCOVID-19に感染した235人の患者データですが、血清25-ヒドロキシビタミンDが30ng/ml以下だった患者は有意に死亡率が高かったとのことです。前回の中編のブログではWilliam B Grantらの研究論文を紹介しました。この論文ではインフルエンザや新型コロナウイルス感染症のリスクのある場合は、血清25-ヒドロキシビタミンDの濃度を急速に上げる必要があるため、2~3週間は10,000 IU/dのビタミンD3の摂取を検討することを勧めています。そしてその後は維持量として5000IU/dを勧めています。

この図では100g当たりの亜鉛含有量を示しています。例えば5㎎の亜鉛を摂るためには、牡蠣では約3個、ホタテ貝では約4個、牛赤身肉では約90g、カシューナッツでは約50粒、6枚切りの食パンでは10枚となります。日常的に最も摂りやすいのは牛肉でしょう。若年者は魚ではなく肉を中心に食べるため、亜鉛の欠乏は起こりにくいものと思われます。

つづく

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